とあるギークのシャウトブログ

心の叫びを綴ります。

なぜ潘基文国連事務総長の発言は中立でないか

はてブを見ていると「正しいことを言ってるんだから中立だ」みたいな頓珍漢なコメントを見かけたので、なぜ中立でないのかについて言及しておく。

結論からいうと、中立でないのは片方のサイドだけに立った意見だからだ。歴史認識については、以前から日本と韓国では相違があり、係争中の案件であると言っても良い。このように両者の言い分が異なる場合に中立性を保つには、両者の言い分を聞く必要がある。従って今回のように片方の立場だけを主張する、すなわち日本にだけ改善を要求するような発言は中立ではない。

中立性とは手続きの問題である。公平な発言機会、平等な弁明の場が与えられて初めて中立性が保たれる。それぞれの意見をどう聞くか、どう評価するかという手続きが重要なのだ。係争中の案件について片方のサイドに肩入れした意見を公の場で述べるという行為は、中立ではないのである。もちろん、国連事務総長という立場の人間がしても良い行為ではないし、どちらにも肩入れするべきではない。 

「俺の信じた正義は正しい。だからこちらのサイドに立った意見は中立なんだ。」というのは間違いである。正義は極めて恣意的な価値観であり、ある人が「正義だ」と信じて止まないものが、単にその人にとって都合が良いものというだけであるという事例は事欠かない。あたかも自分の語っていることが正義であるというような言論は要注意である。

中立性を考える上では、発言の内容や価値観に左右されないよう注意したい。